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2017年5月31日水曜日

進撃の河田 治郎(第2話)

進撃の河田 治郎
(ラットレースに気付かない大人たち)
全12話(毎月下旬1話配信予定)

第1話・・・河田 治郎のラットレース
第2話・・・成功者との出会い
第3話・・・
第4話・・・
第5話・・・
第6話・・・
第7話・・・
第8話・・・
第9話・・・
第10話・・
第11話・・
第12話・・道半ばの振り返り

【登場人物】
  主人公 河田 治郎
  公務員 野々口 裕二
  真珠メーカー 野瀬 徹
  ライター 平山 幸三  
  メンター 岡山 剛   
  女社長  小柳 慶子



第2話「河田 治郎と成功者との出会い」

 世の中には経済的、社会的な成功者とそうでないものがいる。そのことに対して、なぜその2者が存在するのか?そんな問いに関する疑問を、そしてその答えを真剣に考える人がどれほどいるのだろうか。漠然と生まれついた環境のせいと、現状の経済的不自由に甘んじて生きている人が多い中、今回の物語の主人公河田について、本人はもちろん回りの人たちがどのような答えを導くのか。


 1990年代後半から2000年にかけてのITバブル期には栄えたであろうこの町はビルがひしめきあっており、今なおそのビルは太陽に照らされ水晶のような輝きを見せている。ビジネスは生き物だ。変化にアンテナを張り行動できるものだけが生き残り、現状に満足し進化することを忘れた人間はもうこの町にはいないのかもしれない。









※ 写真はイメージです。

 
 河田が踏み入れたこの町が、彼にとってどのような第一歩になるのだろうか。
あるビルの7Fの一室の会場で河田は座っていた。いわゆるセミナー会場にて何かのセミナーが始まるようだ。

野々口「はいよ、コーヒー。」

河田「おっ、ありがと。こういう席に座るのは大学の時以来かな。」

河田はブラックの熱いコーヒーをぐいっと口にやり、唇をすこしやけどした。割と緊張している。

野々口「・・・大丈夫か。話の内容を聞いてくれればいいんだが、今はこの中身より紹介したい人がいるから気楽にしててくれ。」

河田「わかった。難しそうな話なら寝てしまうなー。」

野々口「話をしてくれる人とまたこれから一緒にいろいろ仕掛けていく人にお前を引き合わせる。」

河田「おう。」

セミナーの講師はスーツ姿で、カラーはダークグレーでパリっと決めている。歳は河田より少し上くらいではあるが、生気あふれており、河田より若々しかった。ただ、見た雰囲気は正直、河田には胡散臭さを感じずにはいられなかった。







 ※ 写真はイメージです。

 初回のセミナーで河田が理解した話の内容といえば、ビットコインというものがあり、それは(※)暗号通貨の一つであると、こんなところだろう。またこの話の中身については別の機会に譲るとして、河田はこの後の食事会に野々口と同席する。

※ 暗号通貨・・・日本では翻訳の過程で仮想通貨と呼ばれて馴染んでいるが、ここでは
 暗号通貨と呼ぶ。

野々口「ま、話の内容は追々だな。この話に乗れというんじゃない。このあとの懇親会に出ろ。」

河田「全然わからんかった。頭つかったら腹減った。とりあえず、飯だな。」

 懇親会は近場のイタリアンの居酒屋で行われそこで数人と意見交換をするのだが、講師の人は参加していなかった。その中にカジュアルスタイルの余裕のある雰囲気のある人が座っていた。背が高くがっしりした体格で、その人の名は岡山といって後の河田の人生を変える運命の人である。

野々口「どうも岡山さん!こんばんは」

岡山「お、野々口くん。またお腹でてきたんじゃない?」

野々口「そうですか? なんか気が付くと膨らんでくるんですよね。ただ、太るとドライバーがよく飛ぶんですよ!」

岡山「はははは。そうか。またゴルフいこうか。」

野々口「よろしくお願いします。あ、ところで、こちら河田っていって俺の大学時代の友人です。」

河田「こんばんは。」

岡山「こんばんは。」

野々口「こいつ今、派遣で働いていて、ビジネスについて色々勉強したいっていってるんで連れてきました。」

岡山「そうなの。派遣ってどんな仕事?」

河田「製薬会社のライン作業です。」

岡山「へぇ。今日は勉強になった?」

河田「え。はぁ。ほとんどわからなかったです。」

野々口「内容についてはまた俺から教えておきます。」
野々口と河田は席に戻り河田にささやいた。

野々口「あの人は、すごい人だ、いわゆる俺が目指している人といっていい。」

河田「そうなのか。すごいのか。」

野々口「いくつかのビジネスのオーナをしていて、話の感覚が職場とは全くスケールが違う。見た目や生活スタイルで判断するわけではないんだが、やはり成功者たりえる風格が前面にでている。いままで何人が成功者と呼ばれる人に会ってはきたんだが、この人は俺にとって運命の人なんだ。」

河田「なんかすごいな。」

河田はこの時この人と絡めるとは夢にも思っていなかった。ただ、その場で出会い、すごい人だなって思ってそれで終わりだと考えていたのだ。

2017年4月30日日曜日

進撃の河田 治郎(第1話)

進撃の河田 治郎
(ラットレースに気付かない大人たち)
全12話(毎月下旬1話配信予定)

【プロローグ】
河田 治郎(仮名) 43歳(派遣社員)見た目は七三ならず九一の横分けヘアーがなぜかしっくりくる。見た目は色白だが、大学時代は見た目とは裏腹にサッカー部所属、ポジションはレフトバック、人懐っこい性格でいじられキャラといったところである。
話は大学卒業後、一般企業に就職するも続かず、今現在某医薬品メーカーの工場で派遣社員として働く。毎日あくせく働き、週末はもっぱらゲイバーにて仕事の憂さを晴らす毎日。
世の中の大半が毎月の給料を糧に生活しており、この河田も例外ではなく※ラットレースに明け暮れる。女っ気がないのかと思えば、某会社の女社長に恋をしていたり。もちろんそのキャラからは実るはずもなく・・・。そんなある日、大学の同期の野々口との再会の中でつかんだ新しい道。
そのつかんだワラが河田の今後をどう導くのかを描くドキュメンタリー。

※ ラットレース 目の前に吊り下げられた餌を求めて輪の中を永遠に走り回るマウスの様子を毎月の給料を糧に生活を行う様を揶揄した言葉。もとはロバート・キヨサキ氏の著書「金持ち父さん、貧乏父さん」から生まれた言葉。

【登場人物】
 主人公 河田 治郎
  公務員 野々口 裕二
  真珠メーカー勤務 野瀬 徹
  ライター 平山 幸三  
メンター 岡山 剛   
セラピスト兼社長 小柳 慶子

第1話「河田 治郎のラットレース」

野々口「付き合ってもいない意中の女にいきなりあなたとSEXがしたいと言って、OKする相手がいると思うか!?」
河田「そうだね・・・」
野々口「いきなり、自分の願望、欲望を話しても相手のこともよくわからないのに答えるわけないだろう!」
これは、河田がある保険商品(厳密には違うが)を売ろうとしたときの話である。
河田は保険を売ろうとやっきになっていたが、相手にいきなり「この保険に入って!」といったらしく当然それで保険に入る者などいないという話だ。まして知人・友人にたいしても。

話は今から1年前にもどる。

河田は毎日某医薬品メーカーでライン作業をやっている。毎日毎日同じ作業の繰り返し。昼の休憩を除いて、10時と15時の休息の時以外はあくせく同じ作業を繰り返す。職場が工場ということもあり女っ気はない。まわりは男ばかりだ。もっとも女がいたとしても、気さくに口説くようなタイプではないのだが・・・。




※ 写真はイメージです。


 週末になると、梅田に繰り出しゲイバーへと向かう。ゲイバーにはまった理由は片思いの女社長小柳慶子がはまっているからだ。。

河田の恋というと大げさではあるが某企業の女社長小柳に思いを馳せており、出会ったきっかけは野々口の紹介であり、一目見てフォーリンラブ、そして玉砕なのだ。






※ 写真はイメージです。

 河田の大学時代からの友人である野々口は公務員をしている。ある日河田は野々口と飲みに行くことになった。野々口は大学時代のサッカー部の友人だ。野々口にはいろいろと世話になっている。


河田「野々口ぃ~、公務員いいなー。かたいなー。人生なんの心配もないよなー。」

野々口「そう思うならおまえもなったらよかったんだ。でもな、いいことばかりじゃないんだけどな。おまえが思っている以上にきついんだ。」

河田「何がきついもんか。毎日定時に帰れて、休みもある。ボーナスだって!」

野々口「確かにいい面をならべると世間からはうらやましく思われるかもな。でもな、公務員みたいな大きな組織に勤めると、多くのしがらみがあって他の人には理解できない苦痛もあるんだぜ。」

河田「どんなしがらみよ?そんなの適当に受け流してればいいんじゃない?」

野々口「俺はいま、役職について、部下もいる。もちろん俺一人だけなら好き勝手やっても責任は俺一人だ。それなら気楽だけどな、部下は上司を選べないんだ。わかるか?」

河田「そうだね。でも野々口が上司なら楽しいだろうな。」

野々口「そうでありたいよ。会社の方針が右なら部下も右に向かわせないといけない。右に向くのがいやでもだ。組織の方向にしたがうことが、部下にとっては不満になることなんてしょっちゅうなんだ。営業成績のすぐれない部下に甘く接すると、部下はついてくるかもしれないな。だが上は常に結果を求める、部下指導についてくどくど言ってくる。努力している人間でも結果がなければ叱責される。俺がその役をしないといけない。部下に成果をあげさせないといけない。それに上司と部下なんて世界のどこをさがしてもソリが合わないもんだろ?考え方や価値観の違う人間同士同じ組織で仕事をするってそういうことなんじゃないのかな。」

河田「なんか、人間関係が大変なんだな。もしかして嫌なのか?」

野々口「俺も最初は公務員になって一生安泰!と思ってたんだけど、役職についてから中間管理職の仲間入りを果たすと職責と上司部下の関係で結構大変なんだ。常にいい人を演じられるわけないしな」

河田「ふーん。俺にはわからん!なんか、でも今の仕事で、たまに飲んで、ゲイバーで憂さをはらす人生かえられんもんかね?」

野々口「ぼやいてるだけで変わるわけないだろ?」

河田「ぼやいてたら、目の前からアラジンがでてくるかもよ?なんでも願いをかなえてくれるんだ」

野々口「なんじゃそりゃ、お前は派遣社員だろう?そのままでいいのか?いずれ契約が切れたらまた新しい仕事を探さなきゃいけない。なんか先は考えてあるのか?」

河田「・・・。前に購入した、アフィリエイトの商材は役に立たないし。10万円もしたんだけどな・・・」

野々口「アフィリエイトを頑張るとかないのか?」

河田「もー無理。全然実らん!なんか怖いなー。先が。」

野々口「俺も先は怖いよ、人事異動の先でつぶれていく人をたくさん見たし。自殺する人もいた。だから俺は今の組織にずっといるつもりはない。」

河田「辞めるのか!?もったいない!?」

野々口「なんの準備もなく辞めるか!路頭に迷うわ!準備はしてる。」

河田「準備??」

野々口「ある人に出会って、いろんな話を聞いている。そこで色々勉強させてもらって、公務員以外の収入を生み出そうと思ってな。」

河田「給料以外に収入?何があるん?」


野々口「ちょっとついてこいよ。」


続く

作者より
この話は現在進行中の実話に基づいて作成しています。
この話がどうなるのか?そもそも続くのかどうかは主人公の河田 治郎次第なのである。
つまり、彼が今進んでいるこの道を途中で投げ出したらそこでこの話は終了、うまくいけばこの話が成功者の物語になるということである。