2017年5月1日月曜日

【トランプ大統領】北朝鮮外交vol2

☆緊迫の外交 

 トランプ大統領の北朝鮮に対する強硬発言は単なる威嚇にすぎないと、金融市場は冷静に受け止めていた。
 
 トランプ政権が北朝鮮にぶしつけな言動を取っているにもかかわらず、外国人投資家は韓国の証券を買い越し、韓国の国債デフォルトのヘッジ手段の需要もそれほど高まっていない。いざ開戦となった場合、真っ先に戦火にさらされる国における反応としては、驚くほどの落ち着きぶりであった。
 
 トランプ大統領は北朝鮮による度重なるミサイル発射実験にしびれを切らし、約1週間前には「非常に大規模な衝突」が起こり得ると警告を発した。ホワイトハウスは対北朝鮮制裁強化も呼び掛け、中国が影響力を行使するよう働きかけた。
 
 ただスタンダード・チャータードのデータによると、韓国の株式・債券に対する外国人の買い越し額は3月20日以降で30億ドルを超えた。通貨ウォンの年初来の対ドル上昇率は6%強と、アジア通貨では台湾ドルに次ぐ堅調ぶりだ。
 
 確かに韓国の5年国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは4月末、10カ月ぶり高水準となる60ベーシスポイント(bp)に拡大した。しかしこれは北朝鮮が水爆実験を行った昨年初め時点の80bpよりかなり低く、世界金融危機が最も深刻だった2008年10月に記録したおよそ700bpには遠く及ばない。
 
 韓国市場の強気は、世界経済の先行きの明るさや、5月9日の大統領選で北朝鮮に融和的な文在寅(ムン・ジェイン)候補が優勢とみられていることも影響している。また国内総生産(GDP)が予想を上回り、輸出見通しは改善した。
 
 一方、トランプ大統領は歴代の米大統領に比べて発する言葉への配慮が十分ではないし、主要な政治問題でしばしば態度をひょう変させており、実際、選挙中には北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長とハンバーガーを食べることができたら良いなどと発言していた。

 北朝鮮が拘束している米国人は4人

 北朝鮮は2017年4月15日、金日成(キム・イルソン)主席生誕105年の記念日に合わせ、平壌の金日成広場で大規模な軍事パレードを開催し、金正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長が閲兵した。朝鮮中央テレビが伝えた。米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる新型ミサイルも登場。原子力空母を朝鮮半島周辺に向かわせるなど、対北圧力を強めるトランプ米政権に対抗し、軍事力を誇示した。

 2017年4月25日は、北朝鮮の朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の85周年を迎える。トランプ大統領が北朝鮮に対する軍事的圧力を強める中で迎える記念日だけに、金正恩体制の出方次第に注目が集まった。

 トランプ政権の複数の高官が「北朝鮮が核実験を行えば先制攻撃をする用意がある」と伝えた。さらに軍事パレードの前には、原子力空母カール・ビンソンを朝鮮半島に派遣。
両者のにらみ合いが続いている状況だが、北朝鮮軍創建日を前に、金正恩が核実験を強行すれば、緊張状態はレッド・ラインに突入し、戦禍を被ったかもしれない。
こうした中、トランプが2017年4月24日午前に、安倍晋三首相、中国の習近平国家主席とそれぞれ緊急の電話会談を行った。緊迫化する北朝鮮情勢についての協議だ。
 
 トランプの本気度を示す一つの根拠が、シリアへの攻撃だったのだろう。アサド政権が化学兵器を使用したとしてシリアをミサイル攻撃したことにより、彼が主張する「力による平和」を世界に見せつけた。彼なら北朝鮮に対しても攻撃しかねないというイメージを植え付けた。一方、北朝鮮は相変わらず核・ミサイルを放棄する姿勢を一切見せていない。

 北朝鮮が2017年4月29日午前5時半ごろ、西部の平安南道北倉(ピョンアンナムドプクチャン)付近から北東方向に弾道ミサイル1発を発射したものの、失敗したと推定される。ミサイルは数分間飛行して北朝鮮内に落下。最大高度は71キロだったという。
 
 米CNNなどによると、発射されたのはスカッドミサイル改良型の新型対艦弾道ミサイル「KN17」とみられるという。空母など艦艇を狙うミサイルで、15日の北朝鮮の軍事パレードの際もKN17とみられる機体が披露された。朝鮮半島近海に迫る米海軍原子力空母カールビンソン率いる空母打撃群を牽制(けんせい)する狙いであろう。
 
 トランプ大統領は自身のツイッターで「北朝鮮は、ミサイル(発射)が不成功だったとはいえ、中国と、尊敬されるべき習近平国家主席の望みを踏みにじった。悪いことだ」と北朝鮮の対応を強く非難した。


 韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は2017年5月10日、就任し、新政権を始動させた。同日深夜、外国首脳で初めて、トランプ大統領と電話協議。両首脳は、韓米同盟を基礎として、北朝鮮の核問題など朝鮮半島の安全保障危機の解決のため協力することで一致した。
 文氏はこの日、国会での宣誓式の後に就任演説をし、北朝鮮の核・ミサイル開発問題に関連して「韓(朝鮮)半島の平和のために東奔西走する。必要であれば、ただちにワシントンに飛んで行く。北京と東京にも行き、条件が整えば平壌にも行く」と表明した。


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